☆☆☆
殺し屋ケラーを主人公にした連作短編集。
始めの一編を読んだ印象では主人公が嫌な奴に思えました。
『ケラーの治療法』では、作者はケラーに精神科医のカウンセラーを受けさせていますが、殺し屋がカウンセラーを受けるという可笑しさや不気味さを出すと共に、枚数に制約がある連作短篇の中で、主人公の子供時代の父親にまつわる出来事を上手く語らせてなかなか巧みな構成だと思う。
精神科医との対話で、殺しで訪れた土地に住みたくなったり、買う気もないのにその土地の不動産を見て回ったり、地元の電話帳で同じ名前の人物を探してみたりする彼の奇行の原因が読者に暗示されていたりします。
彼の心の拠り所のない孤独感がさせる行動なのかと思ってみたり、そしてなによりケラー本人が戸惑っている感じがして、なんだかこの感情の一部が欠落しているような主人公が哀れに思えてくる。
彼が飼い始めた犬とペットシッターの女性の意外な展開は唐突な感じがしますが、ブロックにはどんな意図があったのでしょう。話の流れが違う方向に行きそうになったからか、それともケラーの孤独感をより高めるためだったのでしょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿