2015年4月27日月曜日

「怯える屋敷」バーバラ・ニーリイ ハヤカワ文庫

☆☆☆

黒人家政婦のブランチは、つまらないことで禁固刑の判決を受けたが、
偶然、警察の手から逃れ、金持ちの別荘で身を隠して働き始める。
そこには老いた女主人とその姪夫婦、甥が暮らしていた。一家には財産を
めぐる確執があるらしく、屋敷には不穏な空気が漂っていた。
やがて、屋敷に出入りしていた保安官の自殺の知らせが入るが・・・

訳者の坂口玲子さんがあとがきで書いているように、TVドラマ〈家政婦は見た〉シリーズを思い浮かべました。見たことないけど。

作者は黒人女性で人種問題や貧困問題に取り組む運動家でもあるらしく、人種偏見、
差別についての話がでて来きます(堅苦しくはない)。そのため、舞台は90年代なのに50,60年代の作品のような感じを受けました。
主人公は、黒人であったり家政婦ということで差別したり偏見を持ったりする白人に対してかなり辛らつな意見を吐きます。「家政婦が陽気なおバカさんに見えると、安心する雇い主が多い」など。
また、黒人に対しても、雇い主から“自分が家族のように愛されている”と思っている黒人は「くろんぼ病」にかかっているといいます。「最低の賃金しか払ってくれない相手から、じつは自分は愛されているのだなどと、どうすれば信じこむことができるのか」と。

普段、「白人」の側から書いたミステリを読むことが多いわたしにとって、主人公の独白にはかなり違和感がありました。主人公が不平、不満ばかり言っているような気がして。
しかし、表面的なきれいごとではすまされない、差別される側の本音が少しわかったように思います。年月は経っても人種差別は相変わらずのレベルなんだなあと再認識しました。わたし自身の見方もいつの間にかメジャー側になっていたようです。

推理小説としては、ミステリに集中できなかったりするのが弱点かもしれません。
あと、家族、友人と電話で頻繁に話したりして緊迫感がない。

難しくて重いミステリに思えるかもしれませんが、全くそんなことはありません。
アガサ賞を受賞しているし、ユーモアミステリ(?)の範疇に入る作品だと思います。

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