2015年4月27日月曜日

「私のはじめての事件」アネット・ルーム ハヤカワ文庫

☆☆

「知らないうちに歳月が忍びより、気がついたとき、乱雑なキッチンに立っているわたしは四十四歳」、で始まる英国推理作家協会賞新人賞受賞作品。

専業主婦の主人公「わたし」は地元新聞社に就職する。死体を見つけた時は、「『まあ、たいへん』わたしは声に出して、ごく静かに言った。『たいへん!』登っていってよく見なければ。いまのわたしは主婦ではなく、新聞記者だ。」と記者魂を見せたりもする。そして、この時から主人公は同僚の男性記者と共に深く事件に係わり、人生までもが変わっていくことになる。

中年夫婦の倦怠、不倫、麻薬、土地開発、環境破壊などいくつものテーマを入れ過ぎているせいなのか、すごくまとまりの悪さを感じた。それぞれのテーマが終盤、ひとつにならずバラバラなまま終わってしまったような不統一感が残る。

英国女流作家の作品は重厚といったイメージがわたしの中にはあるけれど、この作品にはアメリカ的な軽さがあるように思う。
ソフト・ボイルドを想わせる語り口ながら、作者は英国らしい辛らつなユーモアやウィットを主人公に吐かせて、魅力的な人物像を描いたのに、そこに恋愛を持ってきたのはすごく残念。ここは平凡な中年主婦が、記者という仕事と事件を通して成長する話にして欲しかった。

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