2015年4月27日月曜日

「自殺の殺人」エリザベス・フェラーズ 創元推理文庫

☆☆☆

飛び下り自殺を止められた男が翌朝、職場で死亡しているのが発見される。
自殺なのか他殺なのか?
自殺だとしたら原因は何なのか?
他殺だとしたら自殺しようとした男をなぜ殺さなければいけなかったのか?

という割りには他殺でストーリーが進んでいってるように思えるんですけど。
だって警察も他殺って言ってるじゃないですか。
で終盤になって実は自殺なのかも、という証拠が出てきたりするけど
遅きに失するような。
以下、ネタばれあり。“トビーとジョージ”シリーズを未読の方も読まないで下さい。






つまり作者としては実は他殺と見せかけた自殺だったのだと、一度読者を驚かせたいのですね。
そして、最後にもうひとひねりしてホントは他殺なんだよ、と謎解きをすることで
読者をもっと驚かせたいわけです。そういう展開にするには、あまり最初から自殺の可能性を強く印象づけるとサプライズ効果が薄くなるというジレンマがあったのではないのでしょうか?
最初の謎解きが効果的であればあるほど最後の解決が一層際立つわけですから。
その微妙なバランスが崩れて作品全体がどっち付かずのストーリーになってしまったのではなかろうか?

また、前作「猿来たりなば」においてトビーが“迷探偵”ということを知っている
読者は、端からトビーの推理を疑ってかかるので彼の謎解きを信じないのですね。
最後にどんでん返しがあることを学習しちゃってるので。
わたしが思うにトビーとジョージをシリーズ化した時点でこの弱点が発生したのです。

以上いろいろ言いましたが、フェラーズの作品はただの謎解きだけの小説ではないのでぜひ読んで頂きたいです。

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