☆☆☆
ウェスクフォード主任警部シリーズですが、いつも主任警部に堅物さをからかわれているバーデン警部が主役のノンシリーズみたいな印象を受けました。
レンデルは特にノンシリーズ作品において人間が持つ負の感情をねちっこく、嫌らしく描かせると天下一品ですが、この作品はシリーズもののレギュラー陣にたいしてそれをやっちゃったみたいな感じでしょうか。
妻に先立たれてすっかり人が変わってしまったバーデンは、子供たちにたいして父親らしい義務を怠り、義理の妹が仕事を辞めて子供たちの面倒や家事をやることも当然のように思っている。行方不明になった子供の母親と付き合い始めると仕事にさえ支障をきたしてしまう。
そういう状況に至る彼の感情の変化や弱さ、情欲から来る身勝手さ、嫉妬などをねちねちと描き込んであります。あのプロテスタント的謹厳実直なバーデンが…みたいな。
ミステリより人間ドラマが印象に残りました。
「わたしが作品に登場させる人物は、憎むべき人物、情緒不安定な人物、だがどこかに哀れさを、同情の余地をとどめている人物。」と、あとがきでレンデルの言葉が紹介されています。
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