わたしの名はカーワン。白人、男性、引退した歴史学準教授。今はテープレコーダーに向かって語りかけている。わたしは末期的な肺癌患者である。余命は数カ月。だが、その数カ月を約三週間に縮めようとしている。少なくとも六十人の命を道連れに。以下述べるのは、その所以である……。鬼才畢生の傑作でありながら、執筆当初米国での出版を拒絶された曰くつきの問題長篇。 裏表紙あらすじより
このカーワン老人と私立探偵ミラノの物語が交互に語られる構成。読みやすいのですが、単調なリズムに半分ほどで飽きがきた。人生を振り返りながら、自分の所有するアパートを住人もろとも爆破する計画を録音していく老人と保険会社の依頼を受けて、盗まれた名画(ブーダン作)の行方を追う調査員。偏執狂的な老人は個性的で興味深いのですが、探偵のほうはただの色ボケおやじだとしか思えない。黒人を嫌悪する老人と黒人女性に惚れた探偵を対比させているのでしょうが、ただ金にあかせて女性の気を惹くこと(みたいに感じる)に一生懸命なキャラクターは退く。なので恋愛話がメインの名画盗難ストーリーの方は、大した事件も起こらず退屈です。見掛はビーフステーキだが、食べてみると520グラムの豆腐ステーキだったみたいに、この作品を重厚そうだけれど何か物足りないものにしている原因はそこら辺りにあるのでは…などと。
さて、尾行に関して「右利きの人間は左肩越しに振り返る傾向がある」とありますが、わたしは右肩越しです。他のミステリでは、左斜め後方が死角になると書いてあって納得した覚えがありますが…。
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これ、買ったんですが長いこと積んであります。紹介文を読んでも、あんまり読む気がおきなかったもので。
エリンの長編はどうも羊頭狗肉な感が強いですよね。『闇に踊れ!』は、てん一さんの記事を読む限りでは『空白との契約』に似た感じでしょうか。
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羊頭狗肉!言い得てますね。ネットでの評価は分かれていますが、わたしには長い割に面白さが今ひとつでした。『空白との契約』は未読ですが、『闇に踊れ!』の探偵は知らない内に老人に係わってしまいます。