今を去ること1000年ものむかし、21世紀のことであった。ジョーンズという名の若者が、アメリカめざし旅立ったー電力会社を支配するアーサー理事長と《円卓の男たち》、刑務所にもぐりこもうと悪戦苦闘するエドモン・ダンテス、ひもを片手に複雑怪奇な政府の建物をさまよい歩くテセウス……多彩な登場人物に彩られた旅行記を収録した本書は、21世紀という霧のかなたの遠い過去、その時代の風俗と文化を知る上で最適といえるだろう……!? 遥かなる未来から眺めた21世紀のアメリカを、SFの名手シェクリイがおもしろおかしく描いた傑作長篇!
裏表紙あらすじより
シェクリイといえば、短篇でありわたしにとって印象深い作品は『徘徊許可証』です。
この作品は『トム・ジョーンズの華麗なる冒険』の主人公を思わせる名前ジョーンズを狂言まわしにしたアメリカ現代文明批評的大人の寓話みたいなお話。
1962年に書かれたにしては、相変わらず現代が抱える問題をテーマにしていると思うけれど、なんだか描き方がストレートでひねりがないように思えます。よく言えば素朴なのだけど、たとえが時代を感じさせます。以下、
マッカーシズムに対する揶揄。
刑務所に入りたがるダンテスはモンテ・クリスト伯のエドモンド・ダンテスのもじり。
神を目の前にした精神科医の態度。
大学の学者たちが自分たちの都合の良いように創った原始的ユートピア。
地図制作部の大佐でさえ迷子になる国家の中枢の建物オクタゴン(!)。その中を独裁者を暗殺するためヒモを手に探しまわるテセウスは、迷宮に住むミノタウロスを倒したギリシャ神話の英雄のパロディ…等など。
ウェルズ、ヴェルヌなど未来の科学技術を作品で予測した作家は大勢いますが、未来の人間社会を予測した作家は数少ないと思います。今のところシェクリイの予言は高確率で当たっているようですが、もし、21世紀の世紀末に、この作品が再評価されシェクリイの先見性が誉められるとしたら、SF界にとっては名誉なことかもしれませんが、その時代に生きる人類にとってはさぞ不幸なことでしょうね。
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これ、随分前に読んだので、内容もはっきり覚えてはいないのですが、けっこう面白かった覚えがあります。シェクリイって長編になると、ちょっと野暮ったくなるような印象がありますね。
やっぱりシェクリイは短編が一番でしょうか。『徘徊許可証』も好きですが、僕は『ひる』が印象に残ってます。
そういえば、この人ついこないだ亡くなったんですよね。雑誌の追悼特集も復刊もなにもないところが悲しいです。
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わたしにとってシェクリイは、短篇の印象が強いし面白いと思います。短篇SFの大家だと思っていたのに亡くなっても話題にならないことがすごく残念です。筋金入りのSFファンはどこに行ったのでしょうか。
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ひとむかし前、SF初心者が何を読んだらいいかといったら、ブラウン、ブラッドベリ、シェクリイでしたよね。
シェクリイは今読んでも充分面白いです。同じような諷刺が強い作品を書いていたウィリアム・テンの古び方に比べると、シェクリイは断然輝いてます。
大体ミステリファンは、いまだに黄金時代のミステリをありがたがっているのに、それに比べて、SFファンは…。
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kazuouさんのミステリファンとSFファンとの比較は面白いです。両者の気質の違いはそういうところにあるのかもしれませんね。昔に比べるとわたしにとって最近のSFは敷居が高いです。