2015年4月27日月曜日

「血のついたエッグ・コージイ」ジェームズ・アンダースン 文春文庫

☆☆☆☆

時は1930年、伯爵家の田舎屋敷の週末パーティに集った11人の客はガン・マニアのテキサスの富豪、某大公国の特使、英海軍の少佐らのきらびやかな顔ぶれ。雷雨の夜、そこで殺人が起きる。互いに素姓の知れぬ客たちにはアリバイがなく、全員が犯人くさい……
トリックの冴え、道具立ての妙、推理小説黄金期作品の興趣満点の傑作。
                  裏表紙あらすじより



ナチスによる侵略の危機にあるヨーロッパの小国から、英国との密約を結ぶという使命を帯びた特使が派遣される。その内容を探り出すために某国から雇われたスパイ、また、その密約に乗じて利益を挙げたいヨーロッパ随一の富豪の手先。そして、テキサスの富豪の持つダイヤの首飾りを狙う怪盗。この三人が招待客の11人の中に紛れている、というわけです。

夫婦がお互いの殺人計画を練る『殺意の団欒』(文春文庫)の作者なのですが、訳者あとがきを読むと、打って変わって本格物を書いた背景には作者なりの計算があったみたいですね。

1975年の作品でありながら、あえて時代背景を第二次世界大戦前の設定にしたり、屋敷の間取図を添えたり、秘密の通路があったりと本格物へのこだわりを示したり、国際謀略的シチュエーションの味付けをしたりと作者の工夫は認めますが、その努力に見合うだけの効果を挙げているかと言ったら……。なんだか本格物へのレクイエムに思えてしまいます。過去にさかのぼるよりは、現代の設定で正統本格ミステリを追求すべきだったのではないでしょうか。

警察の捜査が始まると話の流れが遅くなる(よくある傾向ですが)という欠点はありますが、奇怪なトリック、意外な犯人、ユニークな警部の存在など面白かったです。
しかし、突出したところがなかった。

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