高校卒業以来、他人を騙し、裏切り、蹴落とすことでスーパー・エリートとなったヘンリー。だが、自分を捨てた恋人を見返すべく戻った故郷で、彼女が当時、死期が近いとすでに悟っていたことを知らされる。絶望感に包まれ、ホテルのバルコニーへと歩を進めるヘンリー…と、その背にメイドの声。「すべてにきっちり片をつければいいのよ」こうして彼女との奇妙な贖罪ツアーが始まった。 内容紹介より
文学的にセンスは無いが、商業的にインパクトのある題名。
人はたぶん誰でも、他人を傷つけたり裏切ったりした記憶や、そういう事への悔恨が心のどこかに残っていると思います(月並みな文学的表現をするなら“喉に刺さった小骨のように”)。主人公ヘンリーが、過去のある事実を知ったために、いままでに犯した悪行への贖罪の旅に出る軽妙な味のロード・ノベル。わたしは、現代風、ディケンズの『クリスマス・キャロル』を思い浮かべました。復讐と出世欲にかられた卑劣なヘンリーがスクルージであり、彼を贖罪の旅に誘う狂言回し的な役割のソフィーは三人の亡霊。しかし、そのソフィーにも秘密を持たせたところが効果的。
いわゆる、「脚本家」が書くアメリカ的エンターテインメント小説に特有の甘さと分かりやすさが現れている物語ですが、それでもかなり良い出来なのではないでしょうか。深みのない人物造形、単純なプロットが却って基本的な主題を浮かび上がらせているように思います。『クリスマス・キャロル』にしても解りやすく単純な話なのだから…。ただ、最後の出来事には賛否あるでしょうが、わたしは無くても良かったのではと思いました。
妹アニーのエピソードが泣けました。
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