2015年4月27日月曜日

☆☆☆

ロンドン郊外の小都会ヘッドフィールド。そこに住むクローレイ夫妻、ポーソン夫妻、彼らの知人たちのもとへ匿名の手紙が届いた。その内容は、デレク・クローレイとゲルダ・ポーソンが浮気をしているというものだった。当人たちは歯牙にも掛けなかったが、ゲルダの夫のチャールズが素人芝居の稽古中に拳銃の誤射で危ない目に遭い、パーティの最中デレクの親友ジェイソンが薬物入りのカクテルを飲まされる事件が起きる。そしてクローレイとポーソンが共同経営する旅行代理店の ヴェニス・ツアーでついに死者がでることに…


物語の導入部の肩の力を抜いたような語り口が上手です。見掛けは良き夫、妻、友人ながら、内面は殆どまともな人物が登場しない犯罪小説。いかがわしい過去の行い、奇妙な性癖、スノッブでゴシップ好きなど様々なキャラの登場人物を意地の悪い、残酷な視点でもってストーリーが進んでいきます。人間の愚かな喜劇はよく描写されていますが、ミステリ的にはトリックはあまり感心しません。舞台がイギリスとイタリアに二分されるのも物語の流れを分断しているような感じを受けます。ジェイソンのイタリアにおける回想にしてしまえば良かったのではないでしょうか。また、本来一番衝撃的なドラマになるはず(あるいは一番にストーリーで語られるべき)のラストで明かされる動機が伏線もなく、いかにもとって付けたような印象を与えるのが残念です。びっくりはしましたけどね。それからコリンのサイドストーリーはなくても良かったんじゃないの?尊敬する作家に面会に行ったジェイソンのエピソードだけで充分だと思いますが…。

2 件のコメント:

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    面白い作品でしたが、変な意味で面白い作品ですよね。ストーリーの流れが不自然というか、突然変な方向にひねってしまっているのが理解しがたい感じでした。パトリシア・ハイスミスなんかも変なひねりがありますけど、ハイスミスの場合はそれまでの流れで、それなりに整合性が感じられます。
    ジュリアン・シモンズの作品は短編もそうですけど、ちょっと構成に難があるようですね。

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    この作家はテクニックに優れているせいなのか、それに任せて勢いで書いてしまった感があるように思います。作者がプロットの途中で息詰まったのか、kazuouさんのおっしゃるようにストーリーが途切れてしまっていますよね。前半、後半が別の話みたいに感じます。

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