食料の詰まった冷凍庫を目の前にしながら飢え死にしていた、身元不明の浮浪者。
ある裕福な家のガレージに潜りこんだその男は、死後五日にしてようやく発見されたのだった。この事件の取材に訪れたマイケルは、家の女性から意外な話を聞かされる。
彼は自ら餓死を選んだのに違いないというのだ。なぜ餓死?なぜこの家で?だが、それよりも不可解なことは、彼女が死んだ男に強い関心を抱いていることだった。興味を引かれたマイケルは、この浮浪者の素性を調べ始める。二人の間に、どんなつながりがあるというのだろうか? あらすじより
ミネット・ウォルターズといえば、良くも悪くも徹夜本の印象があって、本書にもそういう面白さを期待していましたが……、全く期待外れ。
女性作家が男同士の交流なり友情なりを描く時に、勘違いして美化し理想化してしまうという往々にして現れる欠点が出ていると思います。四十二歳にしては青臭くて年相応とは思えないマイケルをはじめとして、バリー、テリーの三人の関係についての妙に甘ったるい描写と会話は読んでいると恥ずかしくなりました。このあたりは翻訳にも責任の一端があると思います。
狂言まわしのようなテリー・ダルトンの存在もとても十四歳とは思えないし現実味がない。作者が頭の中で作り上げたような(まあ、小説なので当然なのですが)不自然な人物造形の印象を強く受けました。(登場人物の)人間関係についての脇の甘さは、この作者の特徴的弱点だと思うのですが…。
ウィリアム・ブレイクの詩を引きながらビリー・ブレイクの苦悩を強調したかったにしても、ウィリアム・ブレイクに無知なわたしにはとうてい無理というものです。
ただし、アマンダ・パウエルだけは存在感を示していました。
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