酔って帰宅したダルジール警視は、裏手の家の寝室で展開される光景に思わず目をこらした。灯がともり、カーテンがひらかれたかと思うと、裸身の女性があらわれたのである。
だが、つぎの瞬間、女性のわきには銃を手にした男が立ち、夜のしじまに銃声が轟いた!
女の死体をまえにたたずむ男は、現場に駆けつけたダルジール警視にむかって、妻の自殺を止めようとして銃が暴発したのだと主張した。しかし、目撃者のダルジール警視は、こいつは殺人だと自信満々だった。はたして、どちらの主張が正しいのか?一方パスコー警部は、つぎつぎと警察に送られてくる自殺をほのめかす手紙の差出人をつきとめるよう、ダルジール警視に命じられていた。内容からして、謎の差出人は今度の事件に関わりのある女性と推察されたが……。
裏表紙あらすじより
レジナルド・ヒルを初めて読みました。シリーズのなかでも傑作の誉れが高い作品だそうで、通は“ほねちん”(注1)と略して言っているらしいです。読んだ感想は、期待し過ぎたのかもしれませんが、それ程のものでもないという感じ。作品の雰囲気は、なんとなくレンデルのウェクスフォード警部シリーズを想わせ、口が悪くて剛胆な性格はリューインのパウダー警部補を感じさせます。しかし、毒舌、下品さではすでにウィングフィールドのフロスト警部による洗礼を受け、レンデルにさんざん捻られ、レンデルズ・ツイスト ・シンドローム(注2)に陥ったわたしのような読者にはちょっと物足りなかった。
特に、始めから犯人の見当が付いており、ダルジール警視と容疑者との腹の探り合いを中心に話が進むのでやや冗長なストーリー展開に感じたりもします。サイドストーリーとして絡ませている自殺予告の手紙の差出人を見つけ出す話も意味ありげなわりには、それほど本筋にとって効果的でないのでは…。
トリックはなかなかのものだと思うのですが、どうも主人公に共感を覚えませんでした。
つまり、ダルジール警視が中世の宗教劇で神の役をやったように、作品の中で彼を奉る記述が主人公を尊大に、あるいは全知全能に見せてなんだかしらけてしまいました。
当然、一冊のみでダルジール警視の魅力が分かるはずもなく、シリーズものなので刊行順に読んだほうが良かったのかもしれません。
注1)たぶん。使用される場合は自己責任でお願いします。
注2)レンデル特有の何度も捻り過ぎるトリックを読み慣れた読者が裏の裏、そのまた裏の裏(さらに裏の裏)を邪推するようになることを指す専門用語。もちろん冗談ですので。
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