脳腫瘍であと半年足らずの命と診断された脚本家リチャードは、旅の途中、サンディエゴのホテル・デル・コロナードでひとりの女性を目にする。女優エリーズ・マッケナ。1896年の色あせたポートレイトからほほえみかける彼女に会おうと、彼は時間旅行を試みるが……時を隔てた恋の行方は? 映画化され熱狂的な人気を博する傑作ファンタジイ。世界幻想文学大賞受賞作。 内容紹介より
質的に起承転結の起承部分の比重が大きいのに比べて、転結部分が平凡で平板な印象を受けました。もっと書き込んで欲しかった後半部分が陳腐なやり取りに終始してしまっている感じで残念です。瀬名秀明さんの解説(p.470)にあるように、第一部とそれ以降の部分のテンションにあきらかな違いを読み取れますが、それは結局、マシスンがエリーズ・マッケナのモデルとなった実在の女優「ミス・モード・アダムズのポートレイト」から受けたインスピレイションが強烈だったがゆえに、リチャードとエリーズが出会う過程までが真に描きたかったことだったからではないのか。
わたしがこの物語に入り込めなかったのは、主人公がヒロインに寄せる思いがアイドルに向けるヲタクのそれのように感じて引いてしまったからです。こういうタイムトラベルが出来ない方が良いかも。さもなくば過去はアキバ系ヲタクでいっぱいに、みたいな(アヴラム・デイヴィッドソンの作品の邦題よりパクリ)。
余談ですが、マシスン脚本で映画化された『ある日どこかで』のリチャード役、クリストファー・リーヴのその後の運命を思うと、時間とか過去とか未来とかを考えてしまいます。
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この作品、映画は見たんですが、原作は積読してます。
長年映画の方のファンで、原作を読みたいなと思ってたんですが、いざ出版されたら、あんまり読む気がしなくなっちゃったんですよね。
原作は、映画版ほど面白くなかったみたいですね。映画の方では、主人公がクリストファー・リーヴみたいな二枚目だったから、あんまり感じなかったけれど、考えたら、たしかにこの主人公「アキバ系ヲタク」っぽいかも。
とにかく、ジャック・フィニィ的なモチーフがいっぱいで、その種のファンにはたまらない作品ではあると思います。
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ネットで見てみると、映画でファンになって、原作を読んでみたという方が多いようですね。あくまで個人的な意見ですが、なかなか邦訳されなかったのも分かるような気がします。マシスンはフィニイのファンだったそうで、それがこの作品に現れていて微笑ましいです。