2015年4月27日月曜日

「長い日曜日」セバスチアン・ジャプリゾ 創元推理文庫

☆☆☆☆

第一次大戦中のある日曜日、戦場で5人のフランス兵が処刑された。婚約者を失ったマチルドは、事の真相を知ろうと調査を始める。その日何があったのか?生存者がいるという噂の真偽は?隠された真実の断片がジグソー・パズルのピースのように一つ一つ見事にはめ込まれていく。鬼才ジャプリゾが比類のない緻密な構成力で織り上げた情感溢れる傑作!アンテラリエ賞受賞作。 内容紹介より



第一次大戦時のある将軍の回顧録の一節から発想を得て、書き上げるまでに十年の歳月が費やされた作品だそうです。導入部はフランス人の名前やあだ名が錯綜している感じで混乱しました。しかし、個々の登場人物たちの書き分けはたいしたもので、最愛の婚約者を失ったヒロインのマチルドは、脚に障害があり車椅子の生活ながらも、か弱い同情を誘うような人物ではなく、したたかで一筋縄ではいかない女性として描かれていています。

とにかく、年月をかけただけあって“ジグソー・パルズのように一つ一つ見事にはめ込まれて”おり“緻密な構成力で練り上げ”られているのですが、読んでいるうちに、その見事さ緻密さに感心してしまって、どうしても作者ジャプリゾの存在を意識してしまいます。「ジャプリゾって上手いなあ」と思いながら読み進むわけです。いわゆる名人芸すぎるのですね。登場人物たちのたどった運命に読んでいて涙しますが、つねに作者の影を意識してしまうような作品になっている気がします。

しかし、読むべき一冊だと思います。

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