60歳以後の晩年の作品に小説家としての成熟を見る著者は、女史の名作30数篇をほぼ年代順に取り上げながら、処女作から事実上の最後の作品『運命の裏木戸』(1973)にいたる作家クリスティーの足取りを追っていく。超絶技巧的な推理作品としての魅力だけでなく、登場人物たちがいかにいきいきとし、しみじみと心に残る人たちであるか、著者の筆はクリスティーへの愛情にあふれている。
内容紹介より抜粋
クリスティー(早川書房はクリスティーと表記する少数派)がこだわる髭と鬚の話など作品の分析です。
わたしはルパンそしてホームズ、その後クリスティー、クイーンと黄金の読書遍歴を重ねてきたわけですが、はたして十代でアガサ・クリスティーを読むことは正しいことなのか、と考えさせられましたね(まあ、そんなに深刻に考えてはいませんが、アハハハ)。作者が作品に込めた隠れたメッセージや男女間の感情の機微など、ストーリーを追うことに忙しく、犯人を推理することで頭がいっぱいの中学生に読み取れるわけがなく、それでは作品の価値をかなり読み損なっていたのではないかと思ったわけです。つまり、クリスティーの作品は、大人になって読むなり再読するなりしないと真にすべてを理解できないし、楽しめないのではなかろうかと。というわけでこの本を読んで、いつかクリスティーの全作品を読み返してみたいと思いました。
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この本、他のクリスティー本とは、ひと味違う切り口が新鮮です。トリックがどうだとか、論理がどうだとか、ではなく、小説としての読みどころ、滋味を語った、味わい深い本ですね。
僕は、何冊かクリスティーを読んでみて、あんまりピンとこないなあ、と思っていたのですが、この本(というか、ミステリマガジンの連載時ですね)を読んで、改めてクリスティー作品に触れるようになりました。クリスティーの心理サスペンス系の作品が楽しめるようになったのは、この本のおかげです。
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「滋味」という言葉は言い得てますね、さすが…。クリスティーの評論本を読むのはこの本が初めてなんですが、ネットで見てみると結構たくさんあるんですね。kazuouさんのコメントによるとこの本は当たりみたいで良かったです。