猫が鼠をなぶるように、冷酷に人を裁くことで知られた高等法院の判事の別荘で奇々怪々の殺人事件が発生した。被害者は判事の娘の婚約者で、しかも現場にいたのは判事ただ一人。法の鬼ともいうべき判事自身に、皮肉にも重大な殺人容疑がふりかかったのだ。判事は身の潔白を主張するが状況証拠は不利になるばかり。判事は黒なのか白なのか?
そこへ登場したのが犯罪捜査の天才といわれる友人のフェル博士。意外な真犯人と、驚くべき真相を描くカー会心の本格ミステリ。 あらすじより
タイトルに引かれて購入しましたが、猫は一匹も登場しません。
猫と鼠が共謀して人を殺してしまうミステリならユニークなのでしょうが、恐れ多くもカー先生ですからそんなとぼけた話を書くはずがありませんね。
カーの作品て昔読んだけれど内容なんて当然忘れていますが、なんだか昔の印象(暗くて重い、しかもヴァン・ダイン とごっちゃになっている)と違うなと思っていたら、彼の作品のなかでもやや異色みたいですね。
本作は代表的傑作ではないから、カーのBEST5には入らないけどBEST10にはノミネートされるんじゃないか、みたいなことを訳者の厚木淳さんがあとがきに書いています。
確かに、判事とフェル博士の関係やプールでの出来事なんかは納得がいかなかったりします。でも、死体の下にあった赤い砂の謎やフェル博士がこだわった被害者の所持品とかには正統本格ミステリって感じがして楽しめました。古典と言われる作品を読んでみるのも、ノスタルジックな気持ちになってたまには良いものです。
この作品は『嘲るものの座』という題でハヤカワ・ミステリからも出ています。
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まあまあ面白かったと思いますが、ベスト10には入らないような…。
やたらと理屈っぽくて、物語の方が少々おろそかになっていたような印象があります(例によってだいぶ内容を忘れてるんですが)。カーの作品は、大衆小説的なメロドラマとある程度の本格推理的な要素がうまくまとまったときに面白くなると思ってるので、この作品はちょっとバランスが悪かったような気もします。
とはいえ、おぼろげな記憶で言ってるので、お気になさらずに。
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確かにトリックはさすがに本格ミステリの水準ですが、ストーリーテリングはかなりガタガタですね。現代物を読み馴れていると特に…。でも昔読みこぼした(多数あります)本格物の古典を読んでみようかと思いました。