「翻訳とは実践である」「翻訳不可能なものなどない」 ― この信念のもとに、猫と将棋とビール以外のすべてのものを犠牲にして言葉遊びの翻訳に命を賭ける半猫人の語呂つき翻訳家の毎日。
キャロル、ボルヘス、バーセルミ、E・ジョング……難敵と相対する日々は、来たるべき未踏の作品、ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』との対決への序走だ!
内容紹介より
海外文学、海外ミステリ好きな者にとってはとてもありがたい存在である翻訳家のエッセイ。
単行本としては1980年、文庫版では1992年と刊行からかなり時間が経っていて、現在品切れ状態のエッセイについて、あれこれ言うのはどうかとも思うのですが、個人の感想文なのでまあ良いかと…。また、著者は最近、ロアルド・ダールの『チョコレート工場の秘密』の新訳でいろいろな意味で話題になった翻訳家でもありますしね。
このエッセイを一概に面白くないとは言いませんが、それでも著者が思い込んでいるほど面白いわけでもない。本を放り投げる読者もいることでしょう。
この面白くもなくはないところがこの人の微妙なところで、なかなかだと思わせる意見や主張が饒舌さの中に散在してもいるのです。が、しかし、それは浜辺の砂のような無味乾燥な言葉に埋もれているので掘り出すのに根気が要ります。
著者は他の翻訳家にあれこれ言及するのが好きなのか(『チョコレート…』のあとがきのなかで田村隆一氏の旧訳に触れたように)、本書でもアップダイクの『結婚しよう』の翻訳家に対して批評あるいは批判文を書いています。
最後に言わせてもらうと、句点のないただ文字を連ねただけの長文は意味のない駄文でしかない。
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