『セントルイス・ニューズ』のエヴェレットは、事故で重傷を負った同僚の代わり
に、その夜死刑になる男へのインタヴュー記事を担当するよう命じられた。ところが
下調べを始めると、事実関係に不審な点が浮上してくる。これは無実では?死刑を止めるべく、皮肉屋の記者が獅子奮迅の活動を開始する。ただ一日に凝縮されたドラマが生む、
出色のスリル。死刑執行サスペンスの逸品! 内容紹介より
この作品の成功は死刑執行までの時間を十七時間余りに設定したことにあるのでしょう。ラティマーの『処刑六日前』 と比べると緊迫感が格段に違う上に、展開の早さが作品の持つ少々の欠点を気にならないものにしています。
二人の主人公、死刑囚ビーチャムと新聞記者エヴェレット。作者には、この静と動(さらに言えば、妻と娘を愛するビーチャムと浮気男のエヴェレット)の対照的なふたりを対比させる意図があったのかもしれないし、ともすれば暗く重くなりがちなシチュエーションを和らげるためにエヴェレットの性格設定をこのようにしたのかもしれません。
しかし、残念なことにビーチャムと較べてエヴェレットの存在感の軽さが悪い意味で際立っていてバランスがとれていないように思えます。キャラクターに深みを持たせるなり、幼い息子を動物園に連れて行ったような私生活のエピソードをもっと書き加えていたらさらに良い作品になったのではないでしょうか。せめてキース・ピータースン名義の作品の主人公ジョン・ウェルズのような人物にして、エヴェレットが事件から学び成長した姿を描いて欲しかったと思いました。
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