短編の名手フレドリック・ブラウンが、「まっ白な嘘」につづいておくる第二短編集。奇抜な着想、軽妙なプロット、ウィットにあふれるおち、読者は作者の巧妙な話術の罠にはまって、自由自在に翻弄されるだろう。復讐の女神にねらわれた亭主族の運命は?二人の探偵の目前にいて、しかも彼らの目にとまらなかった姿なき殺人者の謎とは?飼い主が、つぎつぎと殺される毛むくじゃらの犬の秘密とは?全十一編を収録した傑作集
内容紹介より
ミステリの方の短編集です。この人は、たしか奥さんに思い付いた言葉を言ってもらって、三題噺みたいにその言葉をもとに短編を執筆したというエピソードがあったと思います(たぶん)。さすがに三十年以上経っているので懐かしい古さを感じました。「復讐の女神」、「猛犬にご注意」と「黒猫の謎」は、現代ではもうひとひねりするでしょうし、「踊るサンドイッチ」はシニカルなエンディングになったでしょう。しかし、恐喝を生業としている俳優の一世一代の台詞が印象的な「名優」には感心しました。この切り捨て方というか…、この時代、なかなかこういうエンディングは書けないのではと思うし、さすがブラウンだなあと。
殺人容疑をかけられた象の「象と道化師」のほか、名家に生まれながら生来の天才スリの話「すりの名人」はデイモン・ラニアンかリング・ラードナーの作品(どっちか忘れた)を、友人から強盗に誘われる少年とその家族の話「不良少年」はエヴァン・ハンター名義の『歩道に血を流して』を思わせるような(『歩道に…』は人情話ではありませんが)人情話だと思います。「毛むくじゃらの犬」、「生命保険と火災保険」、「姿なき殺人者」はキャラクターもの。前者は私立探偵ピーター・キッド、後の二編は保険外交員ヘンリー・スミスがいい味を出しています。特に保険勧誘に熱心なために図らずも事件に巻き込まれてしまうスミス氏の天然ぶりが笑えました。
短編にしては長めの倒叙ミステリ「踊るサンドイッチ」が最後に収録してあることで、この短編集の評価がすごく上がっていると思います。殺人罪で終身刑の判決を受けた婚約者がニューヨーク市警の刑事とともに事件を再調査する話です。かなり完成度が高く、87分署シリーズにでも登場しそうなミステリです。
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この作品集も読んだはずですが、あんまり印象に残ってないですね。
ブラウンはSF短編に比べて、ミステリ短編はしごくまっとうな作品が多いように思います。それでもブラウンだけに、たまにものすごくうまい作品があったりしますが。「後ろをみるな」とか「沈黙と叫び」とかはミステリに分類していいんでしょうか、これらの作品は別として、ちょっと薄味な感じがしてしまいます。
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わたしはブラウンのミステリは長編、短編含めて初めて読みましたが、良い意味でスタンダードな感じを受けました。古いかもしれないけれど、安心して読めるような。『まっ白な嘘』も読んでみたいです。