2015年4月27日月曜日

「黄昏にマックの店で」ロス・トーマス ハヤカワ文庫

☆☆☆☆

CIAの協力者が未発表の回想録を遺して死んだ。その葬儀の直後から、息子の元刑事グラニーの周囲の状況は急変した。父の愛人、旧友が殺され、CIAと匿名の人物が回想録の買収を申し入れてきたのだ。内幕暴露を恐れる者が暗躍しているらしい。命をも狙われ始めた彼は、回想録を餌に反撃の罠を張るが……虚々実々の駆け引きをスリリングに描く巨匠屈指の傑作                 あらすじより



重厚というよりは濃厚なロス・トーマスの作品。プロットはそこそこだけれど登場人物が魅力的だからなのか(この問題は解説で典厩五郎氏が取り上げています)。ロス・トーマスはプロフェッショナルな世界を描くのが上手いと思うのですが、この作品でも真にアマチュアなのは大学を卒業したてのエリカ・マコークルのみで、あとは海千山千の人物ばかりです。

彼らはプロのルールを持ち、そのルール上でものごとを進めていくのですが、一方、スケールが小さく破綻がないというか、読んでいてハラハラしません。たとえば、〈マックの店〉の共同経営者のひとりであるマイケル・パディロの存在が大きく、頼り甲斐あり過ぎ。そのせいで、主人公グラニー・ヘインズが主人公に成りきれていないような印象。ヘインズも元殺人課刑事というかなりな経歴を持ちながら、このパディロの前だと小物に見えてしまうくらい。ここがこの作品の弱いところではないでしょうか。どうせならしがない俳優だけの設定にしておけば良かったかも。

また、せっかくプロに対比させるべきアマチュアのエリカ・マコークルを登場させたのに、ほどなくヘインズとベッドインさせて、以後の扱いはただの情婦みたいな役割にしてしまった辺りは残念。女性作家が書いていたらもっと活躍させていただろうに。

黄昏にマックの店で 黄昏にマックの店で
ロス トーマス (1997/02)
ミステリアスプレス

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