二日酔いのところを電話で叩き起こされたトマス・セロン教授は、まだ夢ではないかと疑っていた。著名なフェミニストであるエマ・ピアス教授から、ボストンの歓楽街でポルノ映画を見ようと誘われるとは!
だが、待ちあわせ場所のポルノ書店のまえにいってみると、エマは反ポルノ女性同盟のメンバーたちとピケをはっているところだった。トマスはいきなり店内に連れこまれ、エマから『固さがぴったり』なる題名のポルノ・ビデオを渡された。これには、いま議論の的となっている反ポルノ法案を正式な法律にするだけの力が秘められているという。だが、くわしい説明を聞く間もあらばこそ、店内で爆弾が爆発した!九死に一生を得たトマスは、ビデオに隠された謎を追って、まんざら嫌いでもないポルノの世界の裏側へと潜入するが……。 裏表紙あらすじより
『疑り屋のトマス』に続く第二作目。一作目を読んでいたら、前作に続いて登場する人物の背景や主人公との関わりが分かって面白かっただろうなと思いました。ジャンルは軽ハードボイルドで、主人公トマスは、パーネル・ホールのヘイスティングスを離婚させてインテリにしたみたいなキャラクターです。終始、主人公を駄目っぽく描いているところは評価したいです(偉そうですみません)。しかしながら、まず、ストーリー展開が読みやすく緩い。だいたいこちらの予想通りになる。それに、なんでこんなに悠長に構えていられるんだろうと思うくらい悪役が迫力に欠ける。コージーものならちょうどいいくらいかもしれませんが、仮にもハードボイルド風なのだから蛇蝎とまではいかないまでも、もっと迫力のある嫌な奴にして欲しかった。でも、主人公が、自分が書いた小説が出版されるとなるや、節を曲げて編集者の要望どおりベッド・シーンを書き加えたり、フランス風芸術作品を撮りたがっていた映画監督志望の男が、ポルノ映画を作れと言われ嬉々として製作したではないかと黒幕が指摘する場面は辛辣でした(P255)。いささか類型的ながら“芸術”を皮肉る悪役の設定はなかなか良かったのですが、ストーリー的には中途半端な人物造形で終わってしまって残念な気がします。
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